遺産分割協議中に相続人が病気で入院したら?解決事例と司法書士の役割

父親が亡くなり、残された家族で相続の手続きを進めようとした矢先、相続人の一人が病気で倒れてしまったら。このような不測の事態は、決して珍しいことではありません。
相続手続き、特に不動産の名義変更(相続登記)には、相続人全員の合意による遺産分割協議が不可欠です。しかし、誰かが入院したり療養が必要になったりすると、手続きは一時的にストップしてしまいます。
今回は、遺産分割の過程で相続人の一人が倒れてしまったものの、司法書士のサポートにより無事に自宅の名義変更を完了させた解決事例をご紹介します。
事例の概要:相続登記の依頼直後に起きたアクシデント
今回のケースは、お父様が亡くなり、相続人として奥様、長男、長女の3名がいらっしゃるご家族からのご依頼でした。主な相続財産は、長年家族で暮らしてきた自宅不動産です。
当初のご希望は、「自宅を奥様の名義に変更したい」というものでした。私たち司法書士法人が受任し、まずは戸籍謄本の収集など、法定相続人を確定させるための調査を開始しました。
しかし、書類の準備を進めている最中に、相続人の一人である長女様が突然の病気で倒れ、入院することになってしまったのです。
遺産分割協議が進められないという不安
長女様が入院されたことで、ご家族には大きな不安が広がりました。 「妹の体調が第一だけれど、相続の手続きはどうなるのか?」 「遺産分割協議書に判(はん)をもらえないと、自宅の名義変更はできないのではないか?」
通常、遺産分割協議は相続人全員が参加し、その内容に同意した上で、遺産分割協議書に署名・実印での押印をする必要があります。入院中で面会も制限されるような状況では、手続きを一時中断せざるを得ません。
ご家族は、長女様の回復を祈ると同時に、手続きが長引くことによるデメリットを非常に心配されていました。
司法書士によるサポートの内容
このような不測の事態においても、司法書士はご家族に寄り添い、状況に合わせた最適なサポートを継続します。
1. 先行してできる手続きの完遂
長女様が療養されている間、私たちは「今できること」を確実に行いました。 具体的には、被相続人であるお父様の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の収集です。相続登記には膨大な戸籍書類が必要となりますが、これらを専門家が漏れなく集めておくことで、長女様が復帰された際に、即座に書類作成へ移行できるよう準備を整えました。
2. 状況に応じたアドバイスと見守り
もし長女様の意識がはっきりしないような重篤な状態が続く場合は、成年後見制度の利用なども検討の遡上に載ります。しかし、今回は「回復の見込みがある」という診断だったため、無理に手続きを急がせるのではなく、ご家族と連絡を取り合いながら、適切なタイミングを待つことをご提案しました。
司法書士として、法的な期限やリスク(後述)を説明しつつも、ご家族が治療に専念できるよう、進捗管理を一手に引き受けました。
3. 遺産分割協議書の作成と手続きの実行
長女様の体調が回復し、無事に退院されたタイミングを見計らって、速やかに遺産分割協議書を作成しました。 奥様に自宅の名義を移すという当初の予定通り、長男様・長女様にもご納得いただき、署名と押印をいただくことができました。
解決までの期間と費用について
今回の事例では、受任から登記完了まで合計で6ヶ月という期間を要しました。 通常の相続登記であれば1ヶ月から2ヶ月程度で終わることも多いですが、病気という不可抗力により、通常よりも長い時間を要することとなりました。
長期化しても安心の定額料金
ご家族が最も気にされていたことの一つが、「手続きが長引いた分、追加の費用が発生するのではないか」という点でした。
私共の司法書士法人では、今回のようなケースでも、当初ご提示したお見積りの料金どおりでご案内いたしました。 たとえ手続きの途中で不測の事態が起き、期間が延びてしまったとしても、当初の依頼内容の範囲内であれば追加費用をいただかない体制をとっています。
ご家族からは、「時間がかかってしまって申し訳ないと思っていたが、費用の追加がなく、最後まで丁寧に対応してもらえて本当に安心した」というお言葉をいただきました。
知っておきたい:遺産分割が遅れることのリスク
今回の事例では無事に完了しましたが、相続手続きを長期間放置したり、止まってしまったりすることにはいくつかのリスクが伴います。
1. 相続登記の義務化
2024年4月から、相続登記が義務化されました。不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。今回のように「病気で療養中」といった事情がある場合は正当な理由として考慮されますが、放置し続けるのは危険です。
2. 他の相続人の状況変化
手続きを待っている間に、別の相続人が認知症を患ったり、亡くなってしまったり(二次相続)するリスクがあります。そうなると、さらに多くの関係者が登場することになり、遺産分割協議はより複雑化してしまいます。
3. 書類の有効期限
印鑑証明書など、一部の書類には有効期限はありませんが、銀行手続き等では「発行から3ヶ月以内」などのルールが設けられていることが多いです。あまりに時間が経ちすぎると、せっかく集めた書類を取り直す手間が発生します。
司法書士からのアドバイス
遺産分割の途中で誰かが病気になる、あるいは意思疎通が難しくなるというトラブルは、どの家庭にも起こりうることです。
大切なのは、以下の3点です。
- 独断で判断せず、まずは専門家に相談する。
- 「本人の回復を待つのか」「代理人を立てるのか」の出口戦略を立てる。
- 手続きが長引いても寄り添ってくれる、信頼できる司法書士を選ぶ。
私たち司法書士は、単に書類を作成するだけでなく、ご家族の平穏な生活を守るためのパートナーでありたいと考えています。
「家族が倒れてしまい、手続きが止まっている」「期限が心配だが、今は看病を優先したい」 そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。状況を整理し、ご家族に最適な解決策をご提案いたします。
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当事務所のサポート内容
当事務所にご依頼いただければ、相続人の調査から遺産分割協議書の作成、およびその受け渡しを、全てサポートいたしますから、慣れない手続きや書類の準備・作成に振り回されることなく、故人を悼む日々を過ごすことができます。
ややもすれば感情的になりがちな遺産分割についても、冷静にかつ円満に解決できるよう、第三者である専門家が法的なアドバイスを行います。相続をきっかけにして、相続人どうしがいがみ合う、いわゆる「争族」にならないように、知恵と知識と経験でサポートさせていただきます。
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この記事を担当した司法書士

司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。























































