数十年間放置された共有土地の相続登記 相続人申告登記で過料を回避した事例
状況
• 被相続人は祖母AとおじB。AとBの二人が共有名義で所有していた土地があった。
• 相談者は相続人Cの長女D。Cは相続人として、土地の固定資産税を長年支払っていたが、相続登記は未了のままだった。
• AとBが亡くなったのは数十年前であるが、相続手続は一切行われていなかった。
• 相続人Cは当該土地を不要と考えており、相続放棄を希望してDを通じて相談に来所。
• しかし、Cの放棄希望は相続開始から相当な年月が経過していたため、家庭裁判所での相続放棄は不可能な状態であった。
• 相続人調査の結果、Aの子が9人いたこと、また手続放置により数次相続が生じていたことが判明し、相続関係が大きく拡大していた。
• 数十年の間に一度も会ったことのない相続人も多く、遺産分割協議の実施は困難と判断。
司法書士の提案&お手伝い
• まずはAおよびBの死亡記録を取得し、戸籍をもとに法定相続人の調査を実施。
• 相続人調査の過程で、Aの子9名およびその数次相続や代襲・再代襲相続により、多数の相続人が存在することが判明。
• 話し合いによる遺産分割協議は困難であることから、「相続人申告登記」を選択肢として提案。
• 相談者および関係する相続人に制度の説明を行い、必要書類の収集、登記申請書類の作成および申請代理を行った。
結果
• 相続人申告登記を完了。
• 相続登記の義務化(令和6年4月施行)に伴う過料の対象となることを回避できた。
• 相続人が多く、土地の資産価値も低かったことから、現実的かつ負担の少ない手続によって解決に至った。
司法書士のポイント
本件では、相続登記が数十年もの間未了であったことにより、関係相続人が非常に多岐にわたる状態になっていました。相続財産である土地も、いわゆる「負動産」に該当するため、全員の合意を得て遺産分割を行うのは事実上困難といえます。
このようなケースでは、令和6年4月から施行された相続登記の義務化に対応するため、「相続人申告登記」という手続が有効です。相続人申告登記は、法定相続人の一人が単独で行うことが可能であり、他の相続人全員と連絡が取れない場合でも、登記義務を履行した扱いになります。
今後も相続登記の義務化により、放置された不動産の対応が求められる場面は増えると考えられます。本事例のように「とりあえずの手続」として相続人申告登記を選択することも一つの方法です。
当事務所では、相続人調査や手続選択のご相談から申告登記の実施まで一貫して対応しております。
「放置していた相続不動産がある」「誰が相続人か分からない」といったご相談も、まずは無料相談をご利用ください。
お一人で悩まず、お気軽にご連絡いただければ幸いです。
まずはお気軽にご相談ください
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この記事を担当した司法書士

司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。