【解決事例】二世帯住宅の生前贈与は危険?高額な贈与税を回避し公正証書遺言で解決した事例

はじめに:よかれと思った「不動産の生前贈与」に潜むリスク
「自分と同居して面倒を見てくれている子どもに、元気なうちに家を譲ってあげたい」
親であれば、献身的に支えてくれるご家族に対してそのように考えるのは非常に自然なことです。しかし、不動産(土地・建物)の生前贈与には、思いもよらない「高額な贈与税」という大きな落とし穴が潜んでいます。
税金の計算をせずに安易に名義変更をしてしまうと、感謝の気持ちで家を渡すはずが、受け取った子どもに数百万、時には数千万円単位の重い税負担を強いてしまうことになりかねません。
今回は、川崎市高津区にお住まいの80代女性より「長男夫婦に二世帯住宅を生前贈与したい」とご相談を受け、提携税理士とのシミュレーションによって贈与税のリスクを回避し、代わりに「公正証書遺言」を作成することで、安全かつご希望通りに財産承継の道筋を立てた解決事例をご紹介します。
1. 相談事例:長男夫婦への感謝。二世帯住宅を元気なうちに譲りたい
ご相談者様のご状況
ご相談者:神奈川県川崎市高津区在住(80代・女性)
ご家族構成:相談者(母)、長男(二世帯住宅で同居)、長女(別居)※夫はすでに他界
主な相続財産:川崎市高津区のご自宅(二世帯住宅・土地建物)、預貯金
ご依頼業務:公正証書遺言の作成サポートおよび遺言執行者の指定
ご相談の背景:「ずっと前に夫を亡くし、建ててくれた二世帯住宅」
川崎市高津区にお住まいのA様は、「自分が元気なうちに、自宅の名義を同居している長男に変えておきたい(生前贈与したい)」と、当事務所の無料相談にお越しになりました。
詳しくお話を伺うと、A様はずっと以前にご主人を亡くされており、一人になられたA様を心配した長男様夫婦が、A様と一緒に暮らすために二世帯住宅を建ててくれたという温かい経緯がありました。
長男のお嫁様も日頃からA様の身の回りの世話を親身に行ってくれており、一緒に買い物に行ったり、通院に付き添ったりと、大変良好な関係を築いておられました。
A様は、「夫が亡くなったあと、二世帯住宅を建ててずっと私を支えてくれた長男夫婦には心から感謝している。だからこそ、私が生きているうちにこの家を確実に長男の持ち物にして安心させてあげたい」と強く望まれていました。
2. 司法書士の提案:生前贈与の落とし穴「高額な贈与税」を回避する
A様の「元気なうちに名義を変えたい、安心させてあげたい」というお気持ちは大変よく分かります。しかし、不動産の生前贈与には税務上の大きなハードルがあります。
日本の税法では、亡くなった時に財産を引き継ぐ「相続税」に比べて、生きている間に財産を渡す「贈与税」の方が、税率が非常に高く設定されています。また、名義変更にかかる「登録免許税」の税率が高くなるほか、「不動産取得税」という相続時にはかからない税金まで発生してしまいます。
当事務所が直ちに提携税理士と連携し、ご自宅の評価額をもとに税額を試算したところ、もし今、生前贈与を行うと長男様側に数百万円単位の贈与税が課されるリスクがあることが判明しました。
A様へこのシミュレーション結果をお伝えしたところ、「息子にそんなに多額の税金がかかってしまうなんて全く知らなかった」と大変驚かれました。息子様を想う気持ちが、逆に息子様の家計を圧迫することになっては本末転倒です。
そこで当事務所からは、生前贈与ではなく「公正証書遺言」を作成し、将来の「相続」として確実にご自宅を長男様へ引き継ぐ方法をご提案いたしました。遺言による相続であれば高額な贈与税はかからず、同居親族が自宅を継ぐ際の税制優遇(小規模宅地等の特例)も活用できる可能性が高いため、大幅な節税が可能となります。
3. 司法書士が提案した解決ロードマップ(遺言書の設計図)
A様のご納得のもと、当事務所では以下のポイントを押さえた「公正証書遺言」の文案を作成し、公証役場との調整を進めました。
① 二世帯住宅(不動産)は長男へ相続させる
A様の最大の目的である「自宅を長男に引き継ぐ」旨を明確に記載しました。これにより、将来相続が発生した際、別居している長女様の印鑑をもらうことなく、長男様単独でスムーズに自宅の名義変更(相続登記)が可能になります。
② 長女の「遺留分(最低限の取り分)」に配慮した預貯金の分割
相続においては、別居している長女様にも法律上最低限保障された権利(遺留分)があります。もし「全財産を長男に」としてしまうと、将来きょうだい間で遺留分を巡るトラブル(争族)に発展する恐れがあります。そこで、預貯金については長男様と長女様で均等に分け、長女様の権利もしっかりと満たすバランスの取れた内容に設計しました。
③ 感謝の気持ちを伝える「付言事項」の活用
遺言書には、財産の分け方だけでなく、ご自身の想いやメッセージを書き添える「付言事項(ふげんじこう)」という項目を設けることができます。今回の遺言書には、「夫が亡き後、二世帯住宅を建てて同居し、日々の生活を支えてくれた長男夫婦へ心から感謝していること」を記載しました。この一文があることで、遺言の内容に法的だけでなく感情的な納得感が生まれます。
④ 当事務所の司法書士を「遺言執行者」に指定
遺言執行者とは、遺言の内容を実際に実現する責任者のことです。当事務所の司法書士を遺言執行者に指定しておくことで、将来相続が発生した際のご遺族の手続き負担を大幅に軽減し、より確実かつ迅速に遺言内容を実行できる体制を整えました。
4. 解決後の成果とお客様の声
当事務所のサポートにより公証人との文言調整もスムーズに進み、公証役場にて無事に公正証書遺言が完成しました。完成した遺言書を手にされたA様は、ほっとされた表情でこうお話ししてくださいました。
【ご相談者様からのメッセージ】
「夫が亡くなってからずっと私を支えてくれ、二世帯住宅まで建てて同居してくれた長男夫婦には感謝しかありません。自分で勝手に生前贈与をしようとしていたら、息子に大きな税金がかかると知って心底驚きました。
司法書士の先生が親身に相談に乗ってくださり、税理士の先生とも確認していただいたおかげで、一番良い形で気持ちをカタチにできて本当に安心いたしました。これからの人生、肩の荷が下りて晴れやかな気持ちで過ごせます。」
5. 今回の事例から学ぶ!司法書士からのアドバイス
不動産が絡む生前対策を検討されている方へ、今回の事例から学ぶべき3つのポイントを解説いたします。
ポイント①:生前贈与は必ず事前に「税金のシミュレーション」を
「よかれと思って考えていた手続きが、実は高額な税金の原因になってしまう」というケースは少なくありません。不動産の生前対策では、法律面(登記)と税務面(税金)の双方からの検証が不可欠です。行動を起こす前に、まずは司法書士や税理士といった専門家にシミュレーションを依頼することが、トラブル回避の鉄則です。
ポイント②:同居している家族への承継は「遺言」が強力
同居しているご親族へご自宅を残したい場合、遺言書を作成しておくことは極めて有効です。遺言書がなければ、将来ご実家をどうするかについて相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、意見がまとまらなければ最悪の場合、ご自宅を売却して分割しなければならないリスクも生じます。遺言書で指定しておくことで、同居家族の生活基盤を確実に守ることができます。
ポイント③:「付言事項」が家族の絆を守る
「なぜ、このような財産の分け方にしたのか」という背景や感謝の気持ちを、遺言書の「付言事項」として残すことは非常に重要です。たとえ財産の配分に多少の偏りがあったとしても、親の真意や想いが文章として残されていることで、残された子どもたちが納得し、不満や争いを未然に防ぐ大きな効果があります。
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この記事を担当した司法書士

司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。























































