「調停」でも決着がつかない場合の「遺産分割審判」とは
遺産分割審判とは
遺産分割の具体的な手続としては,遺産分割の「協議」「調停」「審判」の3つがあります。このうち,協議は裁判外の手続ですが,調停と審判は家庭裁判所における裁判手続です。
一般的に被相続人(相続財産を残して亡くなった方)が死亡した場合には、遺産の分配に関して「遺産分割協議」(遺産分割の話合い)の手続を行う必要があります。
それでも相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合には、まず家庭裁判所の遺産分割の調停を行い、「調停」でも解決しない場合には、「審判」の手続を行います。
遺産分割審判は、遺産分割協議や調停とは異なり、相続人の合意ではなく、裁判官(家事審判官)の判断によって遺産分割方法が決まるという点が大きな特徴です。
遺産分割調停との関係
遺産分割調停を経ずに審判手続きを行うことは可能なのでしょうか。
遺産分割審判については調停前置主義が採られていません。したがって、法的には、遺産分割調停の申立てをすることなく、最初から直接、遺産分割審判を申立てることも可能です。
しかし実際には、遺産分割審判を申し立てても、まずは話し合いによる解決を促すため、家庭裁判所が職権で遺産分割調停に付すことが多いです。
遺産分割審判手続きの特徴
遺産分割審判は、通常の訴訟手続きに近い形で進行します。
当事者が事実に関する主張やそれを裏付ける資料を提出し、裁判官が当事者の陳述を聴くなどして事実の調査をします。
その上で、裁判官は、相続財産の種類や性質、各相続人の生活事情などを考慮し、相続分に応じた妥当な分割方法を定め、審判を下すことになります。
遺産分割審判の流れ
家庭裁判所で行われる遺産分割審判は、概ね次のような流れで進みます。
調停からの移行又は遺産分割審判の申立て
遺産分割調停が不成立となった場合、特別な申立てをしなくても遺産分割審判に自動的に移行されます。遺産分割調停が先行しない場合には、当事者からの申し立てによって遺産分割審判が開始されます。
第1回審判期日
遺産分割審判に移行した場合、家庭裁判所によって指定された第1回審判期日に出頭します。遺産分割審判期日では、原則として相手方当事者も同席のうえ、裁判官の指揮に従って手続が進みます。遺産分割調停と異なり、相手方当事者が同席するのは、当事者の一方の主張に対し、相手方当事者による反論の機会を与えるためです。
第2回以降の審判期日
第1回審判期日で審判が終わらなければ(通常は1回では終わりません)、次回以降の審判期日を決めたうえ、遺産分割審判が継続していきます。なお、各審判期日は、約1か月から1ヶ月半程度の間隔ごとに入ることが多いです。
審判前の話し合いによる解決
審判手続きの過程において、深刻な争点となっていた事項について裁判所の心証が示されるなど、話し合いによる解決の余地が生じる場合があります。そのようなとき、家庭裁判所は、いつでも遺産分割調停に審理の場を移すことができます。この段階で調停が成立すれば、調停調書を作成することにより事件は解決となります。
遺産分割審判
審判期日を重ね、各相続人の主張や資料の提出が十分なされた場合、家庭裁判所は、遺産分割審判を下します。
なお、家庭裁判所の審判内容に不服がある場合には、審判の告知を受けてから2週間以内に、即時抗告という不服申し立てをすることができます。この場合には、高等裁判所に舞台を移し、再度、審理が行われることになります。
審判の不服申立の注意事項
不服申立の期間は2週間以内です。もし一日でも遅れてしまうと不服申立ができなくなりますので注意しましょう。
また、不服(即時抗告)は高等裁判所宛の書類を家庭裁判所に提出します。
書類の宛先は高等裁判所宛、書類の提出先は家庭裁判所になりますので提出する方は注意しましょう。
司法書士のお手伝い
前述したように、遺産分割調停や審判は家庭裁判所で行われます。
家庭裁判所では、司法書士は遺産分割調停や審判の相続人の代理人として活動することはできません。ただし、家庭裁判所に提出する申立書類の作成には代理人としてのサポートが可能です。
遺産分割調停の手続きを進めるためには、家庭裁判所に亡くなった方の戸籍謄本などを提出する必要があります。申立書類の作成を依頼いただければ、司法書士が戸籍謄本などを取得することができます。
また、遺産分割調停や調停が不成立になった場合には、不動産の相続登記手続きについてもアドバイスやサポートをいたします。
複雑な手続きは全てお任せください
遺産分割協議にとどまらず、調停や審判になるような複雑な手続きについては、相続手続きの専門家である司法書士にご相談ください。
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この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。