旧民法の家督相続手続きを使用しての相続登記を行った場合の解決事例
状況
①被相続人A(父)が2年前に亡くなり、相続財産としてA名義の不動産及び預貯金があった。
②不動産は自宅と地方にA名義の土地が2筆あるとの事で当初は相談され依頼されたがその後、この地方の土地のうちひとつは、Aの父であるB(祖父)名義のものである事が判明した。
③相続人は妻Cと子D、Eのあわせて3名である。
④不動産・預貯金含め全ての相続財産をC名義へ希望されている。
⑤戸籍調査及び不動産関係の資料収集、遺産分割協議書作成の依頼及び預貯金関係の手続き全般をお願いされたいとの事で「遺産承継業務」をご依頼頂いた。
司法書士の提案&お手伝い
①まずは他に相続人がいないかどうかの調査を行う為、A及びBの出生から死亡までの戸籍収集を行いC、D、Eの他に相続人がいない事を確認した。
②相続財産確認の為、固定資産評価証明書を取得して財産額を確認した。
③戸籍の収集が完了し相続人が確定した時点で、相関図作成を行い、Aへご意向及び詳細情報をお聞きするため間に入りご連絡を取った。
④遺産分割協議書を作成し、それぞれの各相続人C、D、Eの記名押印のご依頼をした。
⑤旧民法下の相続で戸主の死亡により長男Bが家督相続人となった事から、今回は「家督相続」による相続登記と、A死亡による相続登記を合わせて行った。
結果
兄弟が多く尚且つ、数次相続も発生したことで各相続人の戸籍の収集を行う必要がありましたが、今回、旧民法の「家督相続での相続登記」を行い、さらにAに関する相続についても、遺産分割協議書を当方で作成することによって、お客様になるべく負担をかけないように手続きを進めることができました。
家督相続手続きとは
この「家督相続」は、旧民法上の制度であり、昭和22年5月2日までに開始した相続について行われます。
家督相続の開始原因として、戸主の死亡や戸主の隠居などがあります。
家督相続とは原則として故人の長男が遺産のすべてを引き継ぐ制度で、明治時代から戦前まで適用されていました。
さらに詳しくご説明しますと、戸主の死亡又は戸主権の喪失に基づく、戸主の法律上の地位の承継のことで、家督相続人は、その地位の承継の結果として、前戸主が有していた財産上の権利義務を承継します。
旧民法のもとで行われた相続については今回のように、家督相続の考え方を適用する場合があります。
家督相続では相続人が特定の1人に決められているので遺産分割協議は必要なく、当時の戸籍謄本を提出すれば手続きができます。
家督相続を含めた何代にもわたる相続登記については、登記の専門家である司法書士に相談することをぜひおすすめいたします。
相続登記を放置していませんか?相続登記は義務化されます
また不動産の相続手続を放置している場合は注意が必要です。
今回のケースのように相続登記を行っていない場合は相続登記の義務化によって過料が発生する可能性があります。
ぜひお早めにご相談ください。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。