10年以上相続手続きをしないまま数次相続が発生した相続登記の事例
状況
① 相談者Aの父Bが10年以上前に亡くなった。母も他界しており遠方にある土地が父B名義のままである。
② Bの法定相続人は子供であるAとAの妹Cの2名であった。
③ B名義の土地の名義変更を希望とのことだった。
司法書士の提案&お手伝い
① 相続手続きに必要な書類をご説明し、依頼者のご要望により戸籍収集~遺産分割協議書作成、登記申請まで相続手続に必要な書類の準備を全てお任せ頂いた。
② 相続人は2名であったが相続人間同士で相談者かつ長女であるAが不動産を相続するということで話がまとまっていたため、手続きには、委任状や遺産分割協議書などの書類への押印のみで登記申請のお手伝いをすることができることをご説明した。
③ 不動産の場所は県外であったがご依頼者に負担をかけることなく、郵送でのやり取りで相続登記を完了させることができる旨をお伝えした。
結果
① 数次相続が発生していたため、数次相続に対応した書類をご用意し、被相続人が死亡後10年以上経過していたが、お客様の負担なくスピーディーに書類を準備することができた。
② 「登記簿上の住所」と「父Bの亡くなった最後の住所地」の表記が一致していなかったが、登記に必要な書類を収集してスムーズに登記を完了することができた。
③ 不動産の評価額が100万円以下であったため、税特別措置法84条の2の3第2項の適用を受けることができ、登記にかかる登録免許税は非課税となった。
司法書士のポイント
「10年以上前に亡くなった親族の不動産の名義がそのままになっている」というご相談は数多く頂いております。
遠隔地にある不動産であっても、司法書士はオンラインによる登記申請が可能なので、ご相談が可能です。
また遠隔地にある不動産の中には評価額が100万円以下で税特別措置法の適用を受けることができるケースも見受けられます。
相続手続をしないままにしている不動産がございましたら、是非一度ご相談くださいませ。
数次相続とは
数次相続(すうじそうぞく)とは、被相続人の遺産相続が開始したあと「遺産分割協議」や「相続登記」を行わないうちに相続人の1人が死亡してしまい、次の遺産相続が開始されてしまうことを言います。
例えば、父、母、長男、次男の4人家族がいたとします。
被相続人である父の相続が発生し、父の相続財産をどう相続するのか等の遺産分割協議をしていないうちに、相続人の1人である母の相続も発生してしまった状態が、数次相続の状態です。
両親のどちらかが亡くなり、相続手続きを終える前にもう一方の両親も亡くなってしまうというケースは、少なくありません。
遺産分割協議自体はいつまでに行うというルールは特にありませんが、相続は人が亡くなる度に発生しますので、長期間遺産分割協議をしないままでいると、一定の時間経過とともに複数の相続が発生してしまいます。
この場合、被相続人や共同相続人が多数となり権利関係が複雑となってしまう可能性があり、実際に遺産分割協議を行う際に、誰が相続人でどのように遺産を分割すべきかという点でトラブルになるケースがあります。
したがって、遺産分割協議は相続が発生した場合はできるだけ早めの対応をすべきです。
複雑な相続手続きについては、司法書士にお任せください。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。