認知症の妻と娘たちへの確実な相続のために末期がん患者の遺言書作成の解決事例
今回は認知症の妻と娘たちへの確実な相続のために末期がん患者の遺言書作成の解決事例を解説致します。
状況
依頼者は70代の男性で、末期がんを患っており、医師から余命わずかであると告知を受けていました。彼には長年連れ添った妻と二人の娘(長女と次女)がいました。しかし、妻は数年前から認知症を患っており、日常生活も難しくなっている状態です。このような状況下で、依頼者は以下の点を懸念していました。
– 自身の死後、認知症の妻が自身の財産を適切に管理できない可能性が高い。
– 妻に直接財産を相続させると、その管理が困難になり、最終的に二人の娘に不利益が生じる可能性がある。
– 娘たちに財産を公平に分配し、さらに妻の生活費を確保する方法を考慮したい。
司法書士の提案&お手伝い
司法書士は、依頼者の状況を丁寧にヒアリングし、遺言書を作成することを提案しました。具体的には以下のような内容を盛り込みました。
・妻への間接的な生活保障: 妻が認知症であり財産管理が難しいことを考慮し、妻への直接相続は行わず、代わりに二人の娘が全ての財産を相続する形としました。その上で、娘たちが相続した資金を母親である妻の生活費や介護費用に充てるよう遺言書に明記しました。
-娘たちへの相続分割: 長女と次女が相続する財産について、具体的な分配割合を明記し、公平に分けるようにしました。
– 遺言執行者の指定: 遺言の内容を確実に実行するため、近くに住み、母親の面倒を見やすい立場にある次女を遺言執行者として指定しました。これにより、母親の生活資金が確実に管理され、適切に使用されることを保証しました。
結果
依頼者の希望に沿った遺言書が無事に作成され、法的に有効な状態となりました。これにより、依頼者は自身の死後、妻と娘たちが経済的に安定した生活を送れるよう安心することができました。特に、娘たちが母親の生活費を管理する形を取ることで、認知症の妻の生活がしっかりと支えられる仕組みが整いました。また、遺言執行者として指定された次女が、実際に遺言の内容を確実に実行する責任を負うことで、財産が適切に管理されることが保証されました。
司法書士のポイント
このケースでは、末期がんで余命が限られている依頼者に対し、迅速かつ確実に遺言書を作成することが求められました。また、認知症の妻が直接財産を相続しない形を取ることで、財産管理の困難さを回避しつつ、妻の生活をしっかりと支える方法を設計した点が重要です。
遺言書を作成する際には、相続人が財産を適切に管理できるかどうかを慎重に考慮することが大切です。また、相続人間での役割を明確にし、遺言執行者を適切に選任することで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。遺言書作成を検討されている方は、ぜひ専門家に相談し、適切なサポートを受けてください。
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この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。