代襲相続とは?税金(相続税)の基礎控除はどうなる?|相続の専門家が解説
代襲相続とは
代襲相続とは、相続人になるはずだった人が、相続開始より以前に死亡していたり、相続欠落・相続排除により相続権を失った場合、その子や孫が相続人になるという制度です。(民法887条2項本文、889条2項)。
代襲相続は直系卑属(子・孫など被相続人より後の世代で、直系の親族)の場合には何代まででも発生します。
具体的には、被相続人の子が被相続人より先に死亡していれば孫が代襲相続人となります。子も孫も親より先に死亡している場合は、「ひ孫」が代襲相続人となります。
下記の図の場合、被相続人に対しての孫が代襲相続人となります。そのため、相続人は被相続人に対しての妻と孫2名(背景が黄色の人間)となります。
代襲相続により甥や姪が相続人となるケース
また、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるケースで、その兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっている場合、
その子(被相続人から見た甥や姪)が代襲相続人となります。
ただし、上記のケースで被相続人の甥や姪まで亡くなっている場合、甥や姪の子どもでは代襲相続は発生しません。
(例外として、相続発生が昭和23年1月1日~昭和55年12月31日である場合には、旧民法が適用となり、被代襲者が兄弟姉妹である場合にも代襲相続・再代襲相続が認められます)
疎遠で連絡しづらい代襲相続人がいるケース
代襲相続が発生すると、普段あまり関わりのない人や遠方に住んでいる人が相続人となるため、相続手続きが非常に複雑になりやすくなります。
例えば、父が亡くなり、母と兄弟も既に他界している場合、相続人は兄弟の子供(甥・姪)となります。兄弟が既に他界している場合、その子供(甥・姪)と頻繁に連絡を取り合ったり、顔を合わせる機会がほとんどないことが多く、何年も疎遠になっていることも珍しくありません。場合によっては、甥や姪の居場所が分からなくなっていることもあり、居場所を調べるところから始めなければならないこともあります。居場所が分からないからといって、相続人となる人を無視して相続手続きを進めることはできません。
しかし、相続手続きには期限があるものも多いため、速やかに進める必要があります。特に相続税の申告・納付手続きについては、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」に行わないと、税金滞納状態となり、多額の遅延税が加算される恐れがあります。
このような事態を避けるために、親より先に兄弟が亡くなっている場合は、事前に親族間で相続について話し合ったり、遺言書を準備するなどの対策を講じておくことが賢明です。
代襲相続が発生する要因
具体的に、代襲相続が発生する状況について見てみましょう。
代襲相続の対象となるのは、被相続人の子供または兄弟姉妹が以下の3つの理由により相続権を持たない場合です。
- 被相続人より先に相続人が死亡している場合
- 相続人が相続欠格事由に該当している場合
- 相続人が相続廃除されている場合
では、一つずつ説明します。
被相続人より前に相続人が他界している場合
被相続人が亡くなる前に相続人が死亡している場合、代襲相続が発生します。
また、被相続人と相続人が同じ事故などで同時に死亡した場合も、相続人が相続できないため、代襲相続が発生します。
相続人が相続欠格している場合
相続人が相続欠格に該当する場合には、代襲相続が発生します。
相続欠格とは、特定の犯罪行為や不正行為を行った相続人に対して相続権を認めないという民法の規定です。
具体的には以下の場合が該当します。
- 被相続人や他の相続人を殺害したり、その行為を助けた場合
- 被相続人を脅迫して、自分に有利な遺言を作成させた場合
民法における相続人の欠格事由について、「民法 第八百九十一条」に書いてあります。
(相続人の欠格事由) 第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
相続欠格が認定された相続人は、被相続人の意思にかかわらず、相続権を失います。
相続人が相続廃除されている場合
相続人が相続廃除されている場合にも、代襲相続が発生します。
相続廃除とは、相続人が以下の行為を行った場合に、その相続権を剥奪する民法の制度です。
- 相続人が被相続人に対して虐待や侮辱行為を行った場合
- 相続人が被相続人に対して著しい非行(被相続人の財産の浪費や多額の借金を返済させるなど)を行った場合
これらの行為が認められた場合、被相続人が家庭裁判所に申立てを行い、認められればその相続人は相続権を失います。
推定相続人の廃除について、「民法 第八百九十二条」にはこのように書いてあります。
(推定相続人の廃除)
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
また相続廃除は遺言によって行うこともできます。
この場合、被相続人は遺言に遺言執行者が死後に家庭裁判所に申立てを行うよう記載しておきます。家庭裁判所が申立てを認めれば、その相続人は相続権を失い、代襲相続が発生します。
ポイント:相続放棄では代襲相続は発生しない
相続人が相続放棄をした場合、代襲相続は起こりません。
相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産(負債)もすべて相続しないことを意味します。
相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったとみなされ、相続権が一切なくなります。そのため、代襲相続が発生することはありません。
相続税の基礎控除とは
相続税の基礎控除額とは、被相続人(亡くなった方)が遺した全財産(相続財産)のうち、この額までなら相続税はかからないという非課税枠のことです。
もし相続財産が基礎控除額以下の場合は、全て非課税になりますので相続税は発生しません。
相続財産から基礎控除額を引いた分に対して、相続税率をかけた金額が相続税として発生します。
基礎控除額の計算方法
相続税基礎控除の計算式は
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 = 基礎控除額
となっています。
◆具体例◆
相続人が妻と子供3人の計4人の場合
3,000万円 +(4人×600万円)= 5,400万円(基礎控除額)
相続財産の合計金額が基礎控除額より少なければ、 相続税を支払う必要はありません。
また、基礎控除を計算するときの相続人の数えるにあたって、 相続財産を受け取る受け取らないは影響ありません。
たとえば妻だけが相続財産をもらい、 子供3人は何ももらわないとしても、 基礎控除額は5,400万円のままです。
そして相続税は、 基礎控除額を超えた金額の部分についてのみ発生します。
もし相続財産の合計金額が、 基礎控除を50万円超えただけだとしたら、 その50万円に相続税が発生する可能性がありますので、相続税の申告が必要となります。
代襲相続人は基礎控除の算定に含まれるか?
結論、
代襲相続人も、法定相続人の数に含まれます!
相続する人が代襲相続人の孫1人のみの場合、基礎控除額は、
3,000万円 + 600万円 × 1人= 3,600万円 となります。
相続する人が 妻と子2人、孫2人の場合、基礎控除額は、
3,000万円 + 600万円 × 5人 = 6,000万円 となります。
代襲相続の相続分
代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分と同じです。
代襲相続人が複数いるときには均分に取得します。
※相続権を失ったものを「被代襲者」、かわりに相続する子等を「代襲者」といいます。
養子は代襲相続が可能か?
養子の場合、子の出生時期により代襲相続をするか否かが異なります。
養子縁組前に生まれた養子の子 | 代襲相続をしない |
養子縁組後に生まれた養子の子 | 代襲相続をする |
相続欠格や相続廃除による代襲相続と基礎控除
相続欠格や相続廃除で相続権を失った場合、代襲相続人がいれば代襲相続人が相続税計算の基礎控除の対象になりますが、いなければ欠格事由のある本人は、相続税の基礎計算には入りません。
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この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
-
相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
-
司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。