相続における投資信託の手続きや注意点を司法書士が解説 | 溝の口とたまプラーザで相続の無料相談なら「きずな相続」へ
投資信託の相続手続きについて、よくわからない方が多いのではないでしょうか。
実は亡くなった方が保有していた投資信託の受益権は、相続人に相続されます。
投資信託の相続には、手続きや税務など注意すべき点が多くありますので、司法書士や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
今回は、投資信託の相続に関する手続きの流れや、放置した場合のリスク、注意すべきポイントについて解説いたします。
亡くなった方の投資信託資産は、遺産分割の対象
投資信託の受益権は口数によって細かく分割されるため、法律上では額面で分けることが可能な「可分債権」に該当します。
複数の相続人がいる場合、被相続人が所有していた可分債権は、通常、遺産分割の手続きを経ることなく法的に自動的に分割承継されるのが原則です。しかし、投資信託に関しては、例外的に遺産分割の対象となります。
投資信託は当然分割されない
前述したとおり、投資信託が当然分割されず、遺産分割の対象となります。
当然分割されない理由として、過去の判例で下記の2点があります。
①口数を単位としており、1口未満での権利行使は認められない
②金銭支払請求権だけでなく、委託者に対する監督的機能を有する帳簿書類の閲覧・謄写の請求権など、可分給付を目的とする権利でないものが含まれている
したがって投資信託の受益権は、遺言書で相続する者が指定されている場合を除き、遺産分割によって決めます。
投資信託の遺産分割を放置すると、売却ができなくなる
投資信託を遺産分割せずに放置すると、法律上ではすべての相続人による準共有する状態になります。
準共有状態の投資信託は、売却する際にすべての準共有者の同意が必要です。また、死亡した被相続人の口座からの移管が済んでいない場合には、投資信託を売却することができません。
遺産分割が済んでいないことによって売却に制約が生じると、投資信託の売りタイミングを逃してしまう可能性があり、多大な損失が起こります。このような事態を避けるためには、投資信託の遺産分割を他の遺産と併せて放置せず早めに行っておくことをお勧めいたします。
投資信託の相続手続きの流れ
投資信託を相続するには、金融機関に連絡をして、被相続人口座から相続人口座へ投資信託を移管してもらう必要があります。
大まかな流れは、下記のとおりです。
①金融機関に口座名義人(被相続人)の死亡した旨を連絡する
まずは、投資信託の保有口座がある金融機関(信託銀行・証券会社など)に対して、被相続人が死亡した旨を連絡します。
金融機関に被相続人の死亡を連絡すると、被相続人名義の口座は凍結され、取引や入出金が停止されます。
なお、遺産分割を行うに当たっては、投資信託の商品の細かい情報を把握する必要がありますので、金融機関に残高証明書を発行してもらいましょう。
②投資信託の分割方法を決める
金融機関に相続手続きを申請する前に、まず投資信託の分割方法を決める必要があります。
遺言書が残されており、その中で投資信託の分割方法が指定されている場合は、原則としてその内容に従って分割を行います。ただし、相続人や受遺者全員の合意があれば、遺言書の内容とは異なる方法で投資信託を分割することも可能です。
遺言書がない場合や、遺言書に投資信託の分割方法が書かれていない場合には、相続人や包括受遺者が協議を行い、分割方法を決定します。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や審判を通じて解決できます。
投資信託は、相続手続きが完了すると比較的短期間で現金化できるため、生活費や不動産の新規取得、相続税の支払いなどで現金を必要とする相続人が、投資信託を相続する希望が強いです。
③手続きに必要な書類
投資信託の遺産分割方法が決まったら、金融機関に対して相続手続きを申請します。
金融機関における相続手続きの必要書類は場合によって変わりますが、大きく分けて下記の3つのパターンがあります。
遺言書がある場合
(a)遺言執行者がいる場合
・遺言書
・検認調書(公正証書遺言、法務局の遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言については不要)
・法定相続情報一覧図の写し、または被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
・遺言執行者の印鑑登録証明書
(b)遺言執行者がいない場合
・遺言書
・検認調書(公正証書遺言、法務局の遺言書保管所で保管されている自筆証書遺言については不要)
・法定相続情報一覧図の写し、または被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
・投資信託を相続する者の印鑑登録証明
遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
(a)法定相続情報一覧図の写しを取得している場合
・遺産分割協議書(相続人全員の署名・捺印が必要)
・法定相続情報一覧図の写し
・相続人全員の印鑑登録証明書
(b)法定相続情報一覧図の写しを取得していない場合
・遺産分割協議書(相続人全員の署名・捺印が必要)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人と相続人の続柄が確認できる戸籍謄本
・相続人全員の印鑑登録証明書
遺言書がなく、遺産分割協議書もない場合
※調停調書・審判書がある場合は、それを添付
(a)法定相続情報一覧図の写しを取得している場合
・法定相続情報一覧図の写し
・相続人全員の印鑑登録証明書
(b)法定相続情報一覧図の写しを取得していない場合
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人と相続人の続柄が確認できる戸籍謄本
・相続人全員の印鑑登録証明書
④口座の準備・投資信託の移管
金融機関の相続手続きでは、被相続人口座の投資信託は、相続人の口座へ移管されます。
移管先の口座は当該金融機関の口座に限定されます。
もし相続人が当該金融機関に口座を持っていなければ、新規に口座を開設しなければなりません。
金融機関側での移管審査が完了すれば、投資信託の移管が行われます。
移管の完了後、相続人は投資信託を自由に売却できます。
当事務所は実際にご相談を頂いた事例を掲載しております。合わせてご確認ください。
預貯金や投資信託など手続きする銀行や証券会社が多い相続手続きの解決事例
投資信託を相続する際のポイント
投資信託を相続する際には、価格変動や売却時の税金、相続税などに気を付けなければなりません。
投資信託の基準価額(価値)は変動する
投資信託の価値は株式のように一日中に頻繫に変動しないが、毎日1回決定する「基準価額」があります。
基準価額は日々変動するため、相続発生時・遺産分割時・移管時・売却時など、時点によって価値が変動します。
これらの変動リスクを考慮することが必要となります。
投資信託を現金化してから分割は可能
被相続人口座は、被相続人の死亡によって凍結されます。したがって、被相続人口座にある投資信託を売却して、金銭による分配を求めることはできません。
相続人が投資信託を売却して現金化できるのは、金融機関における相続手続きが終わった後、つまり投資信託が相続人口座へ移管された後です。
投資信託を現金化してから分けたい場合には、代表の相続人が口座を開設して投資信託の移管を受け、売却により得た現金を分割する方法が考えられます。
しかし、その際、取得価格よりも高い基準価格で売却した場合には、売却益に対して税金がかかる点に注意が必要です。
遺産分割前の売却にかかる税金は相続財産の負担となりますので、どのように相続人の間で分担するかを取り決める必要があります。
無料相談実施中!
投資信託の相続については、金融商品の性質上、他の財産と区別する必要があります。
投資信託に関する相続手続きをスムーズに終えるためには、ぜひ相続の専門家である司法書士へのご相談をご検討ください。
当事務所では投資信託に関する相続の無料相談を実施しております。
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この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。