専門家による解説:複数の管轄にまたがる相続登記を効率的に進める方法

親が亡くなり、相続の手続きを進めようとした際、遺された不動産が「自宅」と「遠方の実家」のように離れた場所にあり、戸惑われる方は少なくありません。実は、不動産の名義変更(相続登記)は、その不動産を管轄する法務局ごとに申請する必要があります。
管轄が分かれると、手間も実費も倍かかるのではないかと不安になるかもしれませんが、適切な順序で手続きを行うことで、費用や労力を最小限に抑えることが可能です。今回は、実際に当事務所が解決した事例をもとに、賢い相続登記の進め方を詳しく解説します。
1. 今回の相談事例:A市とB市に分かれた不動産
今回のご相談者は、お父様を亡くされたお子様(4名兄弟)の一人、甲様です。お父様が所有していた不動産は以下の2箇所でした。
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A不動産:お父様が居住していたA市にある自宅
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B不動産:お父様の実家があった遠方のB市にある土地・建物
A市とB市はそれぞれ管轄する法務局が異なっていました。相続人である兄弟4名は、「A不動産は相談者の甲様が単独で相続し、将来的に売却を検討しているB不動産は兄弟4名の共有名義にしたい」というご希望をお持ちでした。
管轄が異なると、それぞれの法務局に対して個別に申請書を提出しなければなりません。何も考えずに進めてしまうと、戸籍謄本などの必要書類を2セット用意したり、原本還付の手続きでタイムロスが発生したりするリスクがありました。
2. 司法書士による戦略的な解決策
私たちは、ご親族の負担を軽減しつつ、スムーズな不動産売却へ繋げるために以下の2点を提案・実行いたしました。
遺産分割協議書の作成
まず、相続人全員の合意内容を明確にする「遺産分割協議書」を作成しました。A不動産は甲様の単独所有、B不動産は4名の共有とする旨を法律的に不備のない形で明文化します。これにより、後々のトラブルを防ぎ、法務局での手続きを確実なものにしました。
申請順序の最適化と原本還付の活用
管轄が異なる場合、通常は「戸籍謄本の束」などの原本を一方の法務局に提出し、それが戻ってきてからもう一方の法務局へ提出するという流れになります。 今回は、将来の売却を急いでいたB不動産(実家)の登記を優先しました。まずB市の法務局に申請を行い、その際に「原本還付(げんぱんかんぷ)」の手続きを併用することで、戻ってきた戸籍一式をそのままA市の法務局での申請に再利用しました。これにより、高額になりがちな戸籍謄本の発行手数料を1セット分に抑えることに成功しました。
3. 管轄違いの相続登記で知っておきたい3つのポイント
複数の法務局に申請が必要なケースでは、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
3-1. 戸籍謄本は「法定相続情報一覧図」で代用可能
以前は、複数の法務局へ申請する際、戸籍謄本の原本が戻ってくるのを待つ必要がありました。しかし現在は「法定相続情報証明制度」を利用すれば、法務局が発行する認証文付きの家系図(一覧図)を無料で複数枚発行してもらえます。これを使えば、異なる管轄の法務局へ同時に申請を出すことも可能になり、大幅な時短になります。
3-2. 登録免許税の計算と納付
相続登記には「登録免許税」という税金がかかります。これは不動産の固定資産税評価額に0.4%を乗じた金額です。管轄が異なる場合、それぞれの法務局に対して、その管轄内にある不動産の評価額に基づいた税金を個別に納付します。
3-3. 遺産分割協議書の有効期限
遺産分割協議書自体に有効期限はありませんが、あまりに時間を空けてしまうと、他の相続人が亡くなって「数次相続」が発生し、手続きが複雑化する恐れがあります。管轄が分かれている場合こそ、専門家を介して一気に終わらせるのが得策です。
4. 解決の結果とメリット
今回の事例では、以下の成果を得ることができました。
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費用の節約:原本還付の手続きを適切に行ったことで、戸籍謄本の取得費用を最小限に抑えました。
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売却へのスムーズな移行:優先順位をつけた申請により、売却予定だったB不動産の名義変更が早期に完了し、すぐに不動産業者との媒介契約に進むことができました。
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円満な相続:プロが作成した遺産分割協議書により、兄弟間での認識の齟齬がなく、円満に手続きを終えられました。
5. まとめ:複雑な相続登記は当事務所へ
不動産が複数の場所に分散している場合、どの法務局に何を提出すべきか、どの順番で進めるのが最も効率的かを判断するのは容易ではありません。特に遠方の不動産が含まれる場合、郵送による申請やオンライン申請のノウハウも不可欠です。
当事務所では、全国どこの管轄の不動産であっても、オンライン申請を駆使して迅速に対応いたします。戸籍の収集から遺産分割協議書の作成、そして最終的な名義変更まで一貫してサポートいたしますので、まずは無料相談をご利用ください。
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この記事を担当した司法書士

司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。























































