相続人間で合意済みの場合の不動産名義変更と解決事例

はじめに:円満な相続こそ早めの手続きを
家族の間で「お父さんの遺産はすべてお母さんに譲ろう」という話がまとまっているケースは少なくありません。争いがないことは非常に喜ばしいことですが、実は「合意ができているから安心」と手続きを後回しにしてしまうことで、後々に思わぬトラブルを招くことがあります。
2024年4月からは相続登記の申請が義務化されるなど、不動産の名義変更を取り巻く環境は大きく変化しています。本記事では、実際に当事務所が担当した「家族全員が合意し、母へ全財産を相続させた事例」を詳しく紐解きながら、スムーズに手続きを進めるためのポイントを専門家の視点で解説します。
解決事例:父の遺産をすべて母へ相続させたケース
ご相談時の状況
被相続人である父A様が亡くなってから約9ヶ月が経過した頃、長男のC様からご相談をいただきました。
ご家族の状況は以下の通りです。
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相続人:母B様、長男C様(相談者)、二男D様
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合意内容:母B様が今後も自宅に住み続けるため、不動産を含む全財産を母が相続することで兄弟間の合意は取れている。
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主な遺産:
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自宅不動産(土地・建物)
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預貯金:約380万円
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出資金:約100万円
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生命保険:数百万円
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長男C様と二男D様は「自分たちは相続しなくてよい」という意向を明確に持たれていましたが、具体的にどのような書類を作り、どこで手続きをすればよいのかが分からず、当事務所へお越しいただきました。
司法書士によるお手伝い
今回のケースでは、既に相続人全員の間で「母Bがすべてを相続する」という明確な合意があったため、手続きは非常にスムーズに進めることができました。当事務所では以下の業務をトータルでサポートいたしました。
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戸籍謄本等の収集による相続人の確定調査
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遺産分割協議書の作成(母Bが全財産を取得する内容)
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不動産の相続登記(法務局への申請)
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その他、預貯金等の名義変更に関するアドバイス
手続きの結果
速やかに遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・捺印をいただきました。その後、管轄の法務局へ相続登記を申請。無事に不動産の名義は母B様へ変更され、預貯金や出資金の手続きも滞りなく完了しました。
母にすべての遺産を相続させるためのステップ
この事例のように、特定の相続人(今回は母)に全財産を相続させる場合、法的に有効な手続きを行う必要があります。ここでは、具体的な流れを解説します。
1. 相続人の調査と確定
まずは「誰が法的相続人なのか」を公的に証明しなければなりません。亡くなった父A様の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍を取得します。また、母B様、長男C様、二男D様の現在の戸籍謄本も必要です。
「家族のことは分かっている」と思われていても、法務局や銀行での手続きには必ずこれらの書類がセットで求められます。
2. 遺産分割協議書の作成
今回の最大のポイントはここです。法律上、遺産は「法定相続分」に従って分けるのが基本ですが、相続人全員の合意があれば、誰がどの財産をどれだけ受け取るかを自由に決めることができます。
「母がすべてを相続する」という内容を明記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員(B・C・D)が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
3. 不動産の名義変更(相続登記)
遺産分割協議書を持って、不動産を管轄する法務局へ登記申請を行います。この際、登録免許税という税金を納める必要があります。
登録免許税の計算式は以下の通りです。
不動産の固定資産税評価額 ×0.4%
例えば、評価額が2,000万円の不動産であれば、8万円の登録免許税がかかります。
4. 預貯金・出資金の解約・名義変更
銀行や信用金庫、証券会社などの金融機関ごとに定められた書類を提出します。ここでも「遺産分割協議書」と「戸籍謄本一式」が共通して必要になります。
兄弟が「相続しない」場合に注意すべきこと
本事例の長男C様や二男D様のように、自分の取り分を主張せず、他の相続人に譲りたいというケースは多いです。しかし、この「相続しない」という意思表示には、法律上の方法が2つあることを知っておく必要があります。
遺産分割協議で「取得分をゼロ」にする
今回の事例で採用した方法です。協議書の中で「母がすべて取得し、子は何も取得しない」と合意します。手続きが比較的簡便で、不動産登記と並行して進めやすいのがメリットです。ただし、この方法では「亡くなった父に借金があった場合」に、その負債を引き継いでしまう可能性がある点に注意が必要です。
相続放棄(家庭裁判所での手続き)
もし父A様に多額の負債がある可能性がある場合は、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行うべきです。相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとみなされ、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぎません。ただし、相続開始を知った時から3ヶ月以内に申し立てる必要があります。
今回の事例では、負債の心配がなく、また既に相続開始から9ヶ月が経過していた(相続放棄の原則的な期限を過ぎていた)ため、遺産分割協議によって母への集約を行いました。
相続登記を放置するリスクと義務化の背景
これまでは、不動産の相続登記に期限はなく、放置していても罰則はありませんでした。しかし、これが原因で「所有者不明土地」が増加し、社会問題となったため、法律が改正されました。
2024年4月からの義務化
2024年4月1日より、相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければならず、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。
二次相続でのトラブル
放置している間に母B様も亡くなってしまった場合(二次相続)、父A様の名義から母B様の名義を飛ばして、直接子供たちの名義に変更することは原則できません。二重の手続きが必要になり、費用も手間も倍増してしまいます。さらに、その間に長男C様や二男D様に万が一のことがあれば、その配偶者や子供たちが相続権を持ち、遺産分割協議の参加人数が膨れ上がって収拾がつかなくなる恐れもあります。
司法書士に依頼するメリット
相続手続きは、ご自身で行うことも不可能ではありません。しかし、多くの方が司法書士に依頼されるのには理由があります。
1. 複雑な戸籍収集を丸投げできる
「出生から死亡まで」の戸籍を集めるのは、想像以上に大変な作業です。特に古い原戸籍は手書きで判読しづらく、役所への郵送請求も手間がかかります。司法書士は職権でこれらを迅速に収集します。
2. 正確な書類作成で「差し戻し」を防ぐ
法務局へ提出する書類に不備があると、何度も足を運んで修正しなければなりません。プロが作成することで、一発で正確な登記が完了します。
3. 預貯金や保険の手続きもワンストップで相談可能
不動産だけでなく、銀行の手続きや保険金の請求など、付随する手続きについてもアドバイスを受けられるため、精神的な負担が大きく軽減されます。
最後に:お悩みの方へ
「家族で話し合いがついているから大丈夫」という時こそ、その合意を法的に確実なものにするチャンスです。時間が経てば経つほど、人の気持ちや状況は変わる可能性があります。
今回の事例のように、スムーズな解決を実現するためには、適切なタイミングで専門家のサポートを受けることが有効です。当事務所では、お客様の状況に寄り添い、最適な手続きをご提案いたします。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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この記事を担当した司法書士

司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。






















































