兄弟が相続人の場合の遺留分 | 溝の口とたまプラーザで相続の無料相談なら「きずな相続」へ
遺留分とは
遺留分制度は民法第9章(以下、法令名無きものは「民法」を指す。1042条以下)に規定されています。
相続財産は、被相続人が生前に有していた財産であるので、本来であれば被相続人が自分の意思に従って自由に処分することができるものです。
そのため、被相続人は、生前に誰に対して財産を譲り渡しても問題がなく、また、遺言を作成し、遺産分割の方法を指定することもできるはずです。
しかし、その結果、本来ならば相続財産を取得することができるはずの相続人が、まったく財産をもらえず、生活に困窮するということも起こりうるのです。
そこで、法は一定の相続人に対し、一定程度の生活の保障をしているのです。これが遺留分制度の趣旨だと考えられます。
相続人が兄弟のみの場合の遺留分
それでは、相続人が兄弟のみしかいなかった場合(「兄弟が相続人の場合の法定相続分」1.相続人が兄弟のみの場合の相続割合 参照)について考えてみましょう。
民法は「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として・・・」(1042条柱書)としています。条文の文言通り、兄弟姉妹のみが相続人である場合には遺留分は認められていないのです。
この場合、「1.」で述べた遺留分制度の制度趣旨が貫徹されていないように思われますが、その理由は如何なるものなのでしょうか。
兄弟姉妹は法定相続人の中で、被相続人との血縁関係が最も遠く、相続順位も最も低くなっています(900条各号)。
兄弟姉妹は被相続人との血縁関係が遠く、相続順位も低いため、被相続人の財産で生活を保障する必要性が低く、関係性の強かった相続人に比して遺留分を認める必要性も低いものと考えることができます。
さらに、代襲相続が発生している場合を考えれば、兄弟に遺留分を認めているとしたならば、より関係性の希薄な甥・姪にも遺留分が認められることとなってしまいます。
これらの者は、被相続人の相続財産で生活の保障を図る必要性はより低くなるものと思われます。
したがって、兄弟姉妹に遺留分が認められていない理由は被相続人との関係性が希薄であることにあるのではないかと考えられます。
相続人が配偶者と兄弟の場合の遺留分
続いて、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合ではどのように考えられるのでしょうか。
「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、・・・、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける(1042条1項柱書)。」とし、直系尊属のみが相続人である場合以外の場合は「二分の一」(同条同項2号)の遺留分を有するとしています。
これを相続人が兄弟姉妹と配偶者のみが相続人である場合について考えてみましょう。
兄弟姉妹は遺留分を有しません。配偶者は1042条1項2号に該当する相続人ですので、相続財産の2分の1について遺留分を有することになるのです。
したがって、相続人が配偶者と兄弟姉妹のみであった場合には、配偶者のみに相続財産の2分の1の遺留分が認められることになるのです。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人・行政書士法人 エムコミュー
代表
小野 圭太
- 保有資格
司法書士 行政書士 民事信託士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託・不動産売買
- 経歴
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司法書士法人・行政書士法人エムコミューの代表を勤める。 平成25年12月に「司法書士法人・行政書士法人エムコミュー」を開業。相談者の立場に立って考える姿勢で、「ご家族の絆を一番に!」を事務所の理念 にしており、お客様の家族まで幸せを考えた提案をモットーにしている。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信頼も厚い。